宇江敏勝「森をゆく旅」(新宿書房、1996年).今日の近鉄特急での車内で読んだ本。これは、宇江さんがインテリアの情報誌「室内」に「山と木の物語」として1993年12月までの三年間連載したものを単行本化したものです。この中に、面白い記述がありました。「廻国の碁盤師」というエッセイの中で、あちこち旅をしながら得意先のある地域で逗留しながら碁盤を作る仕事師の話。その中で、碁盤には榧の木が好まれるという話の続きで、「熊野市には榧の木と聞けば手に入れてしまう市会議員がおり、200枚ほどの盤はほとんど藤田さんが(碁盤師)こしらえたもので、逸品は中曽根総理に献上された。尾鷲市ではヤクザの親分が得意先で、じゅうたんの敷いた応接間で仕事をやらされて、かんな屑は子分たちが掃除をしてくれる」。どなたか、心当たりありますか?
宇江敏勝「森をゆく旅」
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