複合汚染

複合汚染 風邪を治そうと,布団をかぶって寝ながら読んでおりました.結局眠れずに読了しましたが.有吉佐和子を読み返すシリーズも,『紀ノ川』『香華』『華岡青洲の妻』,そして本書へ.原作は,朝日新聞1974年10月14日から翌年6月30日にかけて連載され,単行本は4月に上巻が,7月に下巻が新潮社から刊行されました.



 恥ずかしながら始めて通読したのですが,第一番の感想は,面白い!阪急やモノレールの車内で何度ふきだしたことか.当初はノンフィクションであるかのような印象で読み出したのですが,れっきとした(!)小説であり,上質のエンターテイメントですな.新聞小説であることや一刻も早く世に出したいとの著者の思いもあってか,雑な箇所がかなりあります.文庫本の解説で奥野健男も指摘していますが,冒頭に登場した市川房枝・紀平悌子の選挙の顛末は是非書いて欲しかったですね.もちろん,複合汚染そのものは現在においても深刻な課題であることは言うまでもありませんが,私には重い課題を「面白く表現」した著者の力量こそが,発表後30年を経た今日,もっとも評価すべき点だと思われます.
 ちなみに,私には本を読むときに直感的に登場人物を自分勝手に現存の役者に当てはめて楽しむ癖があります.自分勝手に映画を演出している気になるのですな.今回は著者である有吉佐和子さんを,女優の柴田理恵さんに見立てて楽しい読書を続けておりました.んと,通じるかな?

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