恍惚の人

恍惚の人 職場では推薦入試,私は今回は外れていたので,最低限のこと以外はひたすら布団に入って汗をかき,風邪を治そうと悪あがき.その合間に本書を読了.単行本は1972年6月に新潮社から.亡父が倒れたのがその5年後ですから,出版時高校生の私には,この本への関心は向かなかったのでしょうね.



 父は脳梗塞で倒れてから7年半後に逝きましたが,本書に取り上げられているような徘徊などの経験はありません.最初の発作の後は車いすで移動することも可能でしたから,週末になれば実家にかえってはあちこち連れ出したものでした.2度目の発作の後はほとんど動けなくなってしまったので,「恍惚の人」を実感することはありませんでした.ツレアイの祖母などは一時期大変な状態で,今夏亡くなった義母などはずいぶんとつらい思いをしていたようです.
 「複合汚染」にしても本書にしても,有吉さんの基本的立場は徹底した保守主義にあるようです.もちろん,著者の私生活については細かく知るよしもありませんが,作品レベルで言えば,日常の食べ物,暮らしのあり方からの発想を大切にしておられますし,それ故に,次代が下がっても文学的価値を有しているのでしょう.しかし,いずれも問題の深刻さはそれとしつつ,大変楽しい読み物でした.

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