宇江敏勝『山びとの記 木の国 果無山脈』 この本は以前にも読んだのですが、職場の図書館に改めて入れて頂いたので読み返してみました。宇江さんは、炭焼き・山仕事で紀伊半島を知り尽くされている方です。現在は、世界遺産の関係でメディアにも時々登場されます。本書のカバーには、「長い山のなりわいの歴史が幕を閉じようとしている時に生まれ出た、貴重な山の自叙伝である」と。まずは、80年に出版された本書の増補版が96年に出され、2000年に再版されているという事実を喜びたいと思います。
私の世代というのか、私自身の子どもの頃の記憶の中に、宇江さんが綴られている山の暮らしをかろうじて理解できるものが残っています。母の日常と重なる部分があるからでしょう。同じ著者の『昭和林業私史』(農文協、1988年)も併せて読まれることをお薦めします。
宇江さんは1937年生まれなので時代は下がりますが、プロジェクト熊野現地世話人のsatoshi-kさんが2002年度報告書に書かれた『記憶の中の熊野』も一緒に読むと、山村の暮らしの厳しさと豊かさが浮き出てきます。
宇江敏勝『山びとの記 木の国 果無山脈』
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