第266回市民寄席

 年間六回ある市民寄席,そのうちの一回は京都会館で開かれます.今日の出演者は以下の通り.

○林家染左『二人ぐせ』(18分)
 染丸(四代目)の八番目のお弟子さん.初めて聞きました.まだ前座ですから当然ですが,客をいらうことなく,素直な話しぶりでした.ネタとしては単純なものですが,この辺りは教科書通りに素直に演じるのが一番.声にも張りがあって,好感が持てました.
○桂文華『風呂敷』(21分)
 文枝師の16番目のお弟子さん.私は初めて聞きました.このネタは,志ん生師のビデオで聞いたことがあります.小器用な方とお見受けしました.関学出身.評価は分かれるでしょうね.
○桂春若『一文笛』(24分)
 春団治師の四番目のお弟子さん.30年近く前,入門直後の彼の話を聞いたことを思い出しました.京都文化芸術会館の勉強会で,ネタは忘れましたが,途中で詰まってしまい,はじめからやり直したのでよく覚えています.トリに出た米朝師が「噺をやり直すとは・・・」と,絶句しておられました.今回のネタは,その米朝師の作品で,近頃は東京の人も手がけておられます.マクラで,故志ん朝師の形見という着物の紹介をされていました.中堅らしく,手堅い話しぶりでした.
○桂文枝『たばこの火』(28分)
 今日はこのために行ったようなものです.いくら巧い噺家でも年齢を重ねないと出来ない噺の典型.鴻池家の親戚筋で「和泉の暴れ大臣」と呼ばれる人物の遊び方を描いています.ただ,「鴻池」というのが日本有数の大金持ちであったと言うことが,だんだんと通じにくくなってきましたね.
○桂朝太郎『お笑い手品』(15分)
  中入り後は,あっさりとした手品.彼は米朝一門では,ざこばさんの次になるのですね.でも,落語界全体としては,貴重な存在です.
○笑福亭仁鶴『質屋蔵』(40分)
 上方落語の「四天王」の奮闘を,ブームにまで乗せた張本人,私の世代では,仁鶴の噺を聞いて落語が好きになったという人が一杯います.その元気な頃の仁鶴を聞いているだけに・・・,ここ20年くらいの仁鶴はつらいですね.声が出なくなったのなら,それなりに聞かせる工夫が欲しいところ.枝雀亡き後,上方落語界を支えるというよりも,過去の人になってしまう危険性さえ感じます.落語で存在感を出して欲しいとの願いしきりです.
 市民寄席から戻って,遅い夕食の準備.やがて,芝居から帰ってきたツレアイと一緒に,ビールと焼酎でその日の寸評・・・と言う段取りが崩れてしまいました.たまたまつけたスターチャンネル(BS)で「ムーラン・ルージュ」が始まったので,話もそこそこに見入ってしまいました.いやぁ,面白かった!

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