●桂枝雀一門会(2005年1月5日(水)午後6時30分開演 京都府立文化芸術会館)
桂枝雀一門会が,京都府立文化芸術会館で.仕事を早めに切り上げたツレアイと一緒に午後6時前に自宅を出てタクシーで会場へ.開演5分前に到着して,久しぶりの落語会.
終了して荒神口のバス停に出たのが午後8時55分.タクシーに飛び乗って阿吽坊へ.正月休みにマスターとは2度食事をともにしましたが,店にお邪魔するのは今年が初めて.正月の飾り物,早いうちに写真に撮りたいと思います.
本日の演目は次の通り.
・延陽伯(桂雀太,14分)
・茶の湯(桂こごろう,24分)
・花筏(桂南光,31分)
・中入(11分)
・僕は廃品回収業(桂九雀,15分)
・かぜうどん(桂雀三郎,24分)
・大喜利(桂雀松・桂雀々・桂文我・桂む雀・桂雀喜・桂まん我・桂雀五郎,20分)
枝雀一門は,ABCアナウンサーから弟子入りした音也さんという方が一番弟子でしたが,若くして病気でなくなられました.したがって,べかこ(現南光)さんは二番弟子と言うことになります.後は順番に,雀三郎・雀松・雀々・九雀・文我・む雀・紅雀.南光さんの弟子がこごろう,雀三郎さんのところには雀喜・雀五郎・雀太,文我さんにはまん我.一門総勢13名ということになります.本日の舞台では紅雀さんをのぞく12名が登場しました.
雀太さんは初めて聞きました.「延陽伯」は私も高校時代にやったことがありますが,言葉の丁寧すぎる妻女の名前の言い立てが,口をさばくのにいい練習となって,前座さんがよくやる噺.緊張のせいか少し硬いところがありましたが,前座らしく一生懸命の熱演でした.時間の都合もあってサゲまでは行けず,火事の時に名前を呼ぶのに困るというところで降りました.終わってから自分で座布団を返し,めくりをめくってから下がるのは前座ならでは.
こごろうさんも噺を聞いたのは初めてです.こちらは,すでに独演会も経験済みだけあって,口調も聞きやすく,よく受けていました.ただ,「茶の湯」という噺としては,ご大家の隠居という登場人物の造形に難あり.最初から軽すぎて,なぜ隠居が茶の湯にはまっていくかという骨格の部分が,ほとんど表現されていないのは残念.
南光さんの「花筏」.さすがに安心して聞けます.とくに,自身のタニマチ体験を噺の途中で取り込むのは,すっかり定番となりました.地方での興業という江戸期の相撲興行のあり方を丁寧に説明し,若い客への配慮もしっかりと.相撲の様式をちゃかしながらも,自身の枡席体験と併せてこれも聴き手に理解させる配慮が.十分と練り込んだ工夫が随所に伺える好演.
中入り後の九雀さんは,新作での登場.ゴミの分別という仕事をしながらついつい自分の世界に入っていく主人公.蔵丁稚の中で,蔵にほりこまれた丁稚が,中の質草で芝居のまねをするあたりを取り込んだ小品.無理なく聞かせるあたりは,もはや若手ではありません
トリは,雀三郎.さすがに一門会のトリということもあって,冬の噺ではポピュラーな「かぜうどん」.マクラに物売りの売り声から入り,季節感の表現を少しくどいくらいに仕込んでから本題へ.自身の述懐もありましたが,枝雀さんの演出とほぼ同じ.同じネタを五年後に聞いてみたいと思いました.
最後の大喜利は,時間の都合もあって,というか,時間調整的な意味合いと出番づくりの企画.雀々さんが一人ではしゃいでいました.ツレアイの方は満足していたようで結構でした.ただ,会場の入りは後ろに空席があって,7割程度か.