●米朝,吉朝の会(2005-10-27)
2限目の授業を終了し,コンビニのサンドイッチを食べ,午後は教授会と学科会議.学園祭直前の準備であわただしい中,夕方職場を出て向かったのは初めて訪れた国立文楽劇場.吉朝さんの復活を待ちわびたファンで,場内は補助椅子の出る大盛況でした.
- 道具屋・・・桂佐ん吉
吉朝さんの6番目のお弟子さん.いささか緊張気味でしたが,前座らしく精一杯の高座,17分. - 替わり目・・・桂雀松
プログラムではここで吉朝さんが『ふぐ鍋』をやるはず.ところが登場したのは雀松さん.一瞬,場内には言葉にならないどよめきが起こりましたが,体調を考えて後の高座に専念するための代役とのこと.私自身は大喜利やバラエティーをのぞけば,雀松さんのちゃんとした噺は初めてか?いかにも枝雀一門という演出で,うけていました.30分. - 狸の賽・・・桂米朝
ある意味では高齢を口実に吹っ切れた今の方が芸人らしい味わいがあるのかもしれません.座っていたのは11分で噺も飛んでいましたが,私の後ろの席の若いカップルの『見られただけでええわ」という発言が,多くの方の率直な感想かも. - 弱法師・・・桂吉朝
先日の京都の博物館の時は,直近で見たのですが,今日は客席の一番後ろ.この話は米朝の師匠の米団治師のもの.肉の落ちた吉朝さんが,写真でしか見たことのない米団治師に見えてきたのは不思議.笑いの少ない噺ですが,時間の経過・季節の変化を物売りの売り声で表現する演出は,当時はうけたでしょうね.吉朝さんもだんだんと声の調子が良くなって,44分の長講となりました.
これまで私は四天王の後,枝雀が逝き仁鶴に精彩が無くなった状態では,南光・文珍,加えて松喬あたりを次代のリーダーと思っていました.しかし,病気から立ち直りつつある吉朝さんの今夜の噺を聞いて,うならざるを得ませんね.うまいのはもちろんですが,他にない「品」があると思います.今少し体重が戻ってスタミナがあれば言うことなし.ひょっとすると,大変な一夜に出くわしたのかもしれません.