あかんべえ

あかんべえ〈上〉 正月休みに読もうと買っていた文庫本上下2冊,昨日松阪への近鉄特急の往復車内,加えて今日の午後で読了.この人の作品は(文庫本になってから)ほとんど読んでいますが,個人的には時代物の方が好きです.現代物の場合には時代の風俗なども描く都合で,ついつい殺伐とした気分にさせられることがあるのですが,江戸に「逃げる」ことでのんびりとする気分にさせてくれるのです.

 さて,よくできた読み物ですな,それに,文章もうまいし.ちょっとひっかかるのが,お化けさんという表現.私などは,人がさまよえば幽霊,人以外のものが「お化け」という理解が基本ですので,ちょっと戸惑ったりしています.ま,子供の用法ということではそれでかまわないのでしょうが.それはそれとして,基本はエンターテインメント.どうぞお楽しみください.

内容(「BOOK」データベースより)
江戸・深川の料理屋「ふね屋」では、店の船出を飾る宴も終ろうとしていた。主人の太一郎が胸を撫で下ろした矢先、突然、抜き身の刀が暴れ出し、座敷を滅茶苦茶にしてしまう。亡者の姿は誰にも見えなかった。しかし、ふね屋の十二歳の娘おりんにとっては、高熱を発して彼岸に渡りかけて以来、亡者は身近な存在だった—。この屋敷には一体、どんな悪しき因縁がからみついているのだろうか。

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