奇妙な刺客―祇園社神灯事件簿

奇妙な刺客―祇園社神灯事件簿 通勤車内の読書,現在は澤田ふじ子のシリーズもの.「公事宿」に続いて,これは「祇園社神灯目付役」という,祇園社及び氏子地域の警護の役目を負う主人公が事件を解決します.

内容(「BOOK」データベースより)
公家の庶子として生まれた植松頼助は祇園社の神灯目付役として境内や町の警護に務める日々を送っている。祇園まつりを二日後に控えた日、大雲院の屏風絵が年ごとに消えてゆくという不思議な噂を耳にした彼はさっそく現地へ向かうが、そこで奇妙な男に出会う…。剣の達人が京の難事件を解決する連作四篇。


 この著者の京都を舞台にした作品は,いろんな楽しみ方が出来ます.事件の展開を追うことはもちろんですが,私などは主人公が歩く街並みを一緒に歩くつもりで連想するのが楽しみです.本シリーズでは,舞台が祇園社(八坂神社)ということで,西門から四条通,鴨川を越えて四条寺町の御旅所,また南門からは中村屋から下河原を通って八坂の塔,なじみのある風景に歴史的な変遷の解説が加わって,大変けっこうです.いつもお世話になる阿吽坊のあたりが舞台ということで,余計に親しみが加わるのかもしれません.どなたかが「解説」の中で「京言葉が邪魔でこれまであまり読む気がしなかった」という旨の記述をされていましたが,関西の人間にとってはむしろ逆,人間関係が理解しやすい(敬語の使い方など)ので,流れるように読み進むことが出来ます.登場するお店や菓子・料理など,現在に伝わるモノの来歴を再発見するのもまた一興.「京都検定」の参考書としても楽しめるシリーズです.

3 thoughts on “奇妙な刺客―祇園社神灯事件簿

  1. 澤田さんのお書きになるものはなかなか面白いのですが、実は私も言葉に引っ掛かりを覚えている一人なんです。
    解説の方とは違うようですが、私の場合は京言葉もどきのように思えるのが気になるのです。

       ついこの間まで、二条城の天守閣を見ていたような
       口を利くんやなぁ。
       実際に見たかどうかなど、どうでもよろしゅうおっしゃろ

    これ、京言葉としては奇妙じゃないですか?
    京都人ではないのであまり自信はないのですが。

  2. myon 投稿作成者

     薫さん,こんにちは.まず,私の場合は江戸を舞台にした伝法なやりとりにあまり馴染めないので,上方を舞台にした話が好きという程度です.私自身も「京都人」ではないので,緻密な批評は出来ません.澤田さんご自身も,京都の方ではない(はず)ですから,「これが京言葉?」と受け止められるところもあるでしょうね.薫さんが引っ掛かるとおっしゃるように,私自身も時々首をかしげるところはあります :mrgreen:  専門家の方からすれば,時間と空間を限定されれば,いろいろと気になるところが出てくるのは当然と思います.ただ,私などは,応仁の乱以降の京都は変化し続けているという,大変大ざっぱな流れの中で楽しんでおります. 😀

  3. とまぁ、いやみを言いましたが、面白いんですよね、この人の作品は。通勤電車向きですね(笑)。
    応仁の乱、あるいはその直前の三代将軍の頃をエポックと考えるのはそのとおりですね。あのへんで文法も今のものに近づきますし、小笠原流や伊勢流のような作法も固まっていきます。

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